第1回『問題提起:持続性を損なうものとは?』

日時:2023年10月28日(土)13:30~16:30
場所:名古屋市公会堂 第4集会室
愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目1−3
主催:中部ESD拠点協議会
共催:中部大学国際ESD・SDGsセンター
講師:竹内恒夫氏(中部サステナ政策塾顧問(名大名誉教授))

プログラム:
第一部オリエンテーション
13:30-13:45 趣旨説明
 古澤礼太(中部ESD 拠点事務局長、中部大学国際ESD・SDGsセンター准教授)
13:45-14:00 塾生の自己紹介(1人1分)
第二部セミナー
14:00-15:00 講演:「問題提起:持続性を損なうものとは?」
 竹内恒夫(中部ESD拠点運営委員長、名古屋大学特任教授、元環境省課長)
15:00-15:10 休憩
15:10-16:25 グループ ・ディスカッション&発表
16:25-16:30 総括と今後の期待

 腐らないポリ袋が散乱したり、家庭ごみと一緒に川や海に捨てられたりして、海岸などに漂着し始めてから優に半世紀以上が経ち、使い捨てプラスチックの問題がグローバルな課題となってきた。リサイクルか焼却かが論争になっている。いずれも集めることが前提になるが、実際には、世界的にみると、集められているのは3割で、7割は散乱や埋立、つまり、環境中に半永久的にたまるのである。通常のプラスチックの原料は石油、つまり、化石資源である。何度リサイクルしても、最後は、焼却されてCO2を排出するか、埋め立てられて環境にたまる。焼却では問題解決にならないが、リサイクルも小手先の方法であって、結局は同じである。「使わない、つくらない」方法を追究しなくてはならない。
 その化石資源のエネルギー利用についてみると、米国を除く先進国が地球温暖化対策に取り組み始めて30余年が経つが、日本では、そのころから、CO2排出係数が最も大きい石炭の利用を増やしてきているのである。日本全体では、エネルギー消費量がピークアウトしたのが2007年、CO2排出量のそれは2013年。この時間差は、石炭の割合の高まりに起因する。家庭や企業が省エネ型の機器に買い替えたり、太陽光発電などを設置したりしても、石炭の利用が増大するので、こうした設備投資などの努力は無駄になっている。産炭国でさえ「脱石炭」の制度的措置を講じているのだ。石炭火力に関するものを含め、世界的に、気候変動に関連する訴訟が増えてきている。
 また、世界的にSDGsを広告・宣伝で使う大企業が増えているが、これが「グリーンウオッシング」ではないかと糾弾する運動も登場している。
 今年度の「中部サステナ政策塾」は、「巨悪は眠らせない」(伊藤栄樹・第32代検事総 長の著作名を借用)として、持続性を損なう「巨悪」を如何に眠らせないようにするか、その方法などを徹底的に議論していきます。